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第165号 勝つと思うな、思えば負けよ

柔道もののアニメやドラマは
いつの時代も人気がありました。


年を取ると
昔の話が多くなって恐縮ですが、
若い人にはまた新しい話にも聞こえるのではないかと
思います。


たしか、昭和40年ごろです。

テレビで「柔(やわら)」というタイトルで
姿三四郎を主人公にしたドラマが人気でした。


当時、小学生だった私も
毎週真剣になって見ていました。



姿三四郎が猫を両手を離して落とし、

転がらずに立つその空中の身のこなしを
研究しているシーンがとても印象的でした。

受け身の研究ということなんでしょうが
いかにもドラマっぽいですよね。



また、当時幼かった私の心に残った
一番のシーンは何かと言えば、



柔は人を傷つけるためのものではないと
主張する姿三四郎に

強い者が弱い者を投げ飛ばすのがなぜ悪いと主張する
外国人の不良柔道家たちが複数で


夜の帰り道に姿三四郎に
襲いかかるシーンがありました。



姿三四郎はやむなく、

襲いかかってきた柔道家の一人を投げ飛ばします。


ドラマなので5~6メートル吹っ飛びます(笑)


放置すれば地面にたたきつけられ、
相手は大けが必至です。


彼は落ちてくる相手を

自らの手で受け止め、


「投げるだけが柔ではなく、

落ちてくるあなたを支えたこの手、この心が柔です。」


と、のたまうのです。


今さらのように思い出しましたが

このドラマの主題歌「柔」

の出だしが


「勝つと思うな、思えば負けよ」



でした。



あなたは囲碁で勝とうと思っていませんか。





下手相手に

再起不能なまでにいたぶって、

自分だけ快感に酔っていませんか。


コテンパンに負けた相手は再起不能で
囲碁を止めてしまうかもしれません。


そういう勝ち方を望む人もいるかもしれませんが、

たぶん、その人の周りには誰もいなくなります。


勝つことは目的ではなく、

囲碁を楽しむための手段です。

そして、囲碁は人生を豊かにするための手段です。



目的と手段を取り違えると
ゴールはまったく逆の方向になってしまいます。






勝負だからもちろん、勝ってもよいのです。

いや勝つべく戦わなくてはいけません。



しかし、

落ちてくる相手を
支える心

がない人の強さや技術は単なる凶器です。



刃物などなくても
人を傷つけることはできます。





勝負事ではありますが、
対局相手は敵ではありません。

仲間です。








どのように考えるか、
それはあなたの自由です。


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