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第208号 質より量に学ぶ

ある陶芸教室でのこと。

よりよい教え方を模索する熱心な陶芸の先生が
あるとき、
生徒たちを「質グループ」と「量グループ」
の2つのグループに分けて
別々の方法で指導しました。

質グループには良い作品を1つだけ作りなさいと指示しました。
その一つの作品で評価をします、と伝えました。

量グループには試行錯誤で良いからたくさんの作品を作りなさい、
と指示しました。
そして、
作った作品の数と総重量で評価をします、と伝えました。

その、結果は・・・

皮肉なことに、
高い質を持つ作品は、すべて「量グループ」から提出されたものでした。
質のいい作品を要求したのは「質グループ」のはずだったのに。

なぜ質を求められていなかった「量」グループの生徒たちが、
質で上回る結果を出せたのでしょうか?

「量」グループの生徒たちは、
多くの作品を作る過程で失敗を繰り返すことによって、
多くのことを学ぶことができたのです。

それに対して「質」グループの生徒たちは、
最高の作品を作るための準備や理論武装に時間をかけて、
結果的に質の高い作品を作るための技能を身に付けることが
できなかったわけです。

この陶芸教室の話で重要なのは
『量の中で失敗を繰り返すことによって学んだ』
ということです。

囲碁では
失敗=負け
数多く負けなければダメだと言うことです。

限られた同じ時間内で
何局も対局すれば、
その中の失敗を糧(かて)にして学ぶことができます。

慎重に、ミスのない対局を丁寧に打ってみよう、と
プロのように
1日かけて1局打ったとしても
それだけではたいして上達はしません。

質の大切さを強調することもあります。
でも、
質は大事です、
という場合の質は1回でもいい
ということではないのです。

同様に
量は大事です、
という場合の量は質が悪くてもいい
ということではありません。

陶芸教室の量グループの生徒たちも
いい加減に数を作ったわけではなく、
1つ1つ精一杯作ったけれど、
細かいところにはこだわらずに数をこなすことによって
多くを学んだと言うことです。

質を踏まえた上でこなす量でなくては
量の意味がありません。

囲碁においては
すべてを完璧に打とうとするのではなく、
たとえば
(1)布石を間違えなく打ってみようとか、
(2)石を殺されないように打ってみようとか、
(3)いつも夢中で打っているためできていない
   形勢判断を対局中にしてみようとか、
(4)ヨセで先手を取れるよう注意して打ってみよう
とか。。。

1局ごとに
目的を持って打つのが囲碁の場合の「質」です。
何万局打ったとて、
ただ勝つ快感を得たいだけで打つ碁では
まったく上達はしません。

質x量=上達
質と量、
どちらかがどんなに多くても
もう一方がゼロなら上達はゼロです。

どちらかがどんなに多くても
もう一方が1なら上達の相乗効果はありません。

両方を適度に増やすことによって、上達の速度が速まります。
質を備えた量が
無敵です。

個々の対局でどんなに負けようが、
上達スピードではだれにも負けないのです。

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