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第251号 すぐわかりましたという人間に、わかったためしはない

タイトルの言は戦国武将 小早川隆景の名言です。
小早川隆景は豊臣秀吉の信任を受け、
文禄年間に五大老の一人に任じられた武将です。

これが戦国時代~安土桃山時代の戦国武将の言葉だとは思えず、
現代のだれか著名人が言ったかのような名言に聞こえるのは、
時代が変わっても人間の本質が変わっていないからでしょうか。

現代社会でも、
「わかりました」
はウケ言葉として蔓延しています。

子供時代に両親の小言に
「わかりました」

学校では教師の注意に
「わかりました」

会社では

上司の指示に
「わかりました」


最近の若い人はどうだかわかりませんが、
こうした時代に生きて来た人間にとって、
「わかりました」は、
わかったときに使う言葉ではないことは自覚しています。


「わかりました」と言えば、少なくとも
その場は平和に終わります。
そういう言葉です。

この習性が囲碁にも出てしまう人が非常に多いです。
「手拍子でウケる」
という行為です。


何も考えずに石音のした近辺に
すぐ打ってしまう。

相手が攻めて来たのだから守ればいい。
定石通りウケておけば
一応、この場は平和(互角)に治まる。


よくよく考えてみると
定石とは互角になるための手段であって、
勝つための手段ではないのです。


でも、これは当然のことで、
楯(たて)と矛(ほこ)のように
絶対負けない手と絶対勝つ手は両立しないので、
行き着くところは互角のワカレになってしまうのです。


しかし、棋力の同じ者同士の対戦結果が
すべて半目勝負(=実質引き分け)になるでしょうか。
いえ、
プロ同士でさえ大差の勝負になることがあります。

それはなぜか。
定石通り打っているだけではなく、
勝つために反発するからです。

部分の局地戦だけでなく、
碁盤全体を見た時に
定石通り打たない方がいいかどうか?

プロはそれを探して
反発した手を打って戦います。

そこから先は定石の知識ではなく、
ヨミの力の戦いになります。


定石だけを打ったって面白くもなんともないのです。
たとえ、初級者であっても初級者なりに、
ヨミ合い、工夫し合った碁というのは印象にも残り、
またこの人と打ちたいと思います。
それが碁の本当の楽しさなんですね。


こんなことを話していると、
勘違いされてしまうかも知れませんが・・・


定石もろくに知らないのに
反発ばかりしている人を擁護しているのでは
ないですよ。

出来る範囲でまずは定石を学んだあとのお話です。

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