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第307号 順次戦略と累積戦略

以前、鶴翼の陣という話をしました。
これは戦国時代の武将の陣形戦略ですが、
原典は孫子などの戦略書であって、
武田信玄や信長や家康が考案したものではありません。

これが囲碁の戦略に応用されているわけです。
ただ、実際に碁盤上に鶴翼の陣が敷かれることはまれです。
囲碁の場合は鶴翼の陣は圧倒的に有利なため、
対局相手はそれを阻止するからです。

碁盤上に鶴翼の陣が敷かれるのは
手合い違いの、棋力差の大きい対局者
同士の対局だけです。

たとえ天地がひっくり返っても
プロの対局で鶴翼の陣を見ることは
絶対ありません。

囲碁だけではなく、
このような戦争の戦略が
ゲーム理論に応用されることは
よくあることです。

鶴翼の陣ほど有名ではありませんし、
これを囲碁で説いた人を私は知りませんが、
今回は順次戦略と累積戦略の話をしたいと思います。


これももとは戦争の戦略理論ですが
ビジネスやゲームなど多くの分野で応用されています。
何かを戦略的に成功させようとする場合、
その全ては順次戦略と累積戦略の
たった2つのやり方に分けられる
という理論です。

順次戦略とは
一時的な軍事力や経済力で圧力をかけ、
自国に有利な条約などを
締結するようなケースをいいます。

ペリーが黒船で来航し、
のちに日本にとって不平等条約を締結した
ことがイメージに近いかもしれません。


これに対して累積戦略とは
一つ一つの行為は相手にダメージを与えませんが、
それが積み重なると相手がいつに間にか
弱体化しているというものです。

累積戦略は
武力や経済力でも可能ですが、
戦争のない時代においては情報戦において
多く行われている戦略です。

さて、これらを囲碁に置き換えると
どうなるか。

順次戦略は
攻め合いで大石を一気に取ってしまい、
形勢を逆転したり、中押し勝ちに持ち込むことが
想定できます。


累積戦略は、
対等の定石で応じながら
相手のミスなどのチャンスのときに
わずかな有利な手を打つことを
繰り返していく戦法を想定できます。


アマでは
順次戦略は初級者が好み、
累積戦略は高段者が好む傾向が
あります。


もちろん、
高段者でも大技が好きな人もいますし、
初級者でも大技より堅い手を好む人もいます。

そんなに負けているとは思えないけど、
数えてみたらけっこう負けてた・・・
なんてい言うのは相手に累積戦略を
実行されていたのかもしれません。


相手に10目与えて
自分は11目取る。


チャンスが有るたびに
それを重ねていくというのが
囲碁における累積戦略と言えるかもしれません。


どちらが優れている戦略だと
いうわけではありません。

好みでいいと思いますが
勝つか負けるかわからない順次戦略での大勝負より
累積戦略の方が安定した成績を残せる
取りこぼしの少ない方法なのかもしれません。


参考文献
⇒ 戦略論の原点 普及版



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