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第312号 答のない問題が苦手ですか?


マーク式テストに慣らされた世代は
答のない問題が苦手な人が多い。
というと、若い世代のことを言っているようですが、
還暦を過ぎた世代であっても該当するほど
時代は流れています。

1.選択肢の中に必ず正解がある。
2.この文章は必ず、間違いか正しいかのどちらかである。

義務教育ばかりでなく大学入試や、
一部の国家試験においても
この2つの状況の中で正解を出すように
訓練されてきた人が多いのではないでしょうか。

このような選択問題やマーク式テストは
もともと、大量受験者の答案を短期間に
採点する目的のためだけに考案されたものです。

そのため、客観的に、正確に、
知識を測定するには適しているものの、
2つの大きな欠陥を有しています。

それは、
(1)問題自体が不正確で失題の可能性が高い
(2)自由な発想・創造力を阻害する
の2つです。

(1)に関してはこういうエピソードがあります。
戦後まもなく、各種の国家試験が創設されましたが
不動産鑑定士試験で、初年度に試験委員になった先生が

2年目に試験委員を降りて、自身が受験しましたが、
結果は不合格。
正誤(○×)問題において、
厳密に考えすぎて不正解の選択肢を回答したり、
正解が複数あって、答えられなかったからと言われています。

当時は今より出題がラフだったのかもしれません。
例外がある場合には「原則として」の文言を入れなければ
正しい文章にはならないわけですが、
非常に特殊な例外しかある場合は
出題者は「原則として」の文言を入れないで
○のつもりで出題したりします。
その結果、厳密な知識があった人のほうが
×と回答して不正解として採点をされてしまうわけです。


2番目の
「自由な発想・創造力を阻害する」
という弊害はもっと深刻です。

選択肢の中ではもっとも正しいものが
一つあるかもしれません。
その場合、失題(問題の間違い)には
ならないかもしれませんが、
選択肢以外にもっと正しい答があるかも知れないという
思考を回答者から奪っています。

私が何を言いたいのか
もう、わかっていただけたかと思います。


囲碁では市販の問題集は全部と言っていいほど
○×問題、選択問題で構成されています。
特に、2番目の
「自由な発想・創造力を阻害する」
という弊害が色濃く出ているわけです。

この弊害を除くための一つの工夫として
選択肢を2つとか4つとかではなく
6つ7つ・・・8つ
と増やすことが一部で行われています。


これは敢闘賞ですね。
でも、やはり採点を簡略にするという
目的の延長線上の工夫にすぎません。

明確な答がないのが現実です。
実戦対局でも、「どこに打っても1局の碁」
と言われる場面が多いのです。

「定石だからこう打つ」
のではなく、
「こう考えるからこう打つ」
が大切です。

そこで、私から出題です。
答はありません。
本当はありますが・・・

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問題:
秀策のコスミが優れているといわれる理由を
棋譜図を用いて説明しなさい。
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誰でも、
入門時に勉強しているはずなんですが・・・
秀策のコスミが優れているという結論だけを
知っていても何も役に立ちません。

秀策のコスミを並べられない人
はもってのほか。

有段者は即答できないといけません。
回答できないようなら、基本が飛んでいます。
段を返上して1級から再スタート
した方がいいかもしれません。


(後日追加)
初級者は星定石から学ぶのが分かりやすいと言われています。
これは私もそう思います。
すると、入門者や初級者に、小目中心の江戸時代の古碁である秀策のコスミを
教えることの多い囲碁教育の妥当性も疑問になってきます。
良い手を感覚的に味わってほしいというプロ棋士の気持ちも
分かりますが、私はちょっと疑問を感じています。


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