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第10号 石は取れないもの

囲碁カリキュラムでは捨て石は初段近くになって教えることが多いのですが、囲碁教育者たちは石を捨てる方法はむずかしいと考えているのでしょうか。

実際には石を取る方がはるかにむずかしいのです。
囲碁は交互に打つゲームです。相手の石を取るためには自分の石が相手の石より多くなければなりません。

相手の石を取るためには連打というルール違反をしなければならないはずで、理論的には相手の石は取れないものなのです。


それでも実際には相手の石を取れる場合もあります。それは

(1)相手が間違えた場合
(2)手合い違いで棋力の違う者同士の対局の場合

であって、理論的に石を取れているわけではないのです。


たまたま石を取れたことに味をしめて、毎回相手の石を取りにいっても、いつも相手が間違えてくれるとは限りません。
負けたり、勝ったり、負けたり・・・で一向に上達しないことになります。

実は石を取るぞと脅かしながら、自分の石を守り、地を作っていく「攻めながら守る」打ち方が囲碁の基本的な考え方なのです。
相手の石を取ることを目的にしてはいけないのです。

しかし、脅かしても相手が守らなければ、そのときは本当に取ってしまえば
いいのです。
そのときこそ、石を取る技術が役に立ちます。
相手が守っているのに無理に追いかけていくと自分の石の形が崩れたり、逆
に自分の方が取られたりします。

石は取れないものなのです。
これに対して石を捨てる戦略は相手はすぐにハマってくれます。
なんてったって、相手も石を取るのが好きですから。

それでも有段者同士になると互いに捨てた石をなかなか取ってくれなくなります。
石を取らせることによってもっと大きな地や模様を作ろうとしているのかもしれないと疑ってみるからです。
相手が捨石を使ってもっと大きな地や模様を作ろうとしているなら、石を取った方は「石を取った」とは言えず、「取らされた」ということになります。

上級者で「石取り病」にかかっている人は早く自分の病気に気がついて下さい。
今まで厚かった初段の壁をあっさり破ることができるかもしれません。


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