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第12号 実利と模様

実利と模様、どちらが好き?
と訊くと、
模様が好きな人が多いようです。

模様派の代表は宇宙流の武宮正樹九段ですが、碁盤の真ん中に地を作る壮大さにロマンを感じますね。

実利派の代表は小林光一九段です。
地に辛い打ち方の見本です。

ところで、実利と模様は打ち方としてはどんな違いとなって表れてくるのでしょう。

模様派は石を真ん中(第4線から中央寄り)に集め、実利派は石を第3線に集める打ち方だと思っている方、多くないでしょうか。

プロの模様派と実利派の対局結果を、第3線、第4線、第5線に打った石の数を数えて集計してみると。。。

実は差がありません。
模様派は序盤に第4線、第5線に多く打ち、あとで第3線にフォローする手を打っているのです。
実利派は序盤に第3線、第4線に多く打ち、あとで第5線を打っているのです。要するに模様派、実利派と言っても打つ場所が違うわけではなく、打つ順序が違うだけなのです。

模様碁といえども第3線、そしてヨセの第2線、第1線も打たなければ碁になりません。

模様派の人も実利派の人も模様碁の正しい考え方を知っておいた方が良いでしょう。
実利が好きという人は
「模様は地にならないから」
という意見、経験?が多いのですが、ここは上達へのキーポイントです。
模様を荒らされると、そうはさせじとばかり必死に相手の石を取りに行くのは模様の生かし方を理解していません。

以前、「石は取れないもの」という話をしましたが、まさに模様はその棋理から生じる戦法です。
荒らしにきた石を厳しく攻めれば、たとえ相手に生きられても、いつの間にか今度は反対側に模様が出来ます。

その模様をまた荒らされても、また他方に模様が出来て、最後は碁盤のどこかに必ず一つは大きな地が完成します。
相手にとってはそれが怖いのです。
模様の威力は侵入してきた石を取ってしまうことではなく、消しても消しても消えない二枚腰、三枚腰のしつこさにあるのです。


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