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第164号 悪手で勝つ誘惑を断ち切れ!

美しい形は強い。

これは囲碁の基本格言。
そして、私の座右の銘でもあります。

定石を並べてみると
どれも安定した美しい形をしていることに
あらためて気がつきます。

ところが
初段が見えてくるころになると
これが「きれいごと」だと
思うことに出会うことがあります。

あなたはNHK杯テレビ囲碁トーナメント
をご覧になっているでしょうか。
このプロの対局を何百回も見ていると

1、2回、
とんでもない手と解説に遭遇します。

「これ、形が悪くて悪手ですが
この場面ではこれしかありません。」

みたいな解説に遭遇したことはありませんか?
10年見続ければ、1回はあるでしょう。

数多くの対局をするうちには
正しい手を打っても勝てないことがあります。

何億局、何兆局打たれても
同じ棋譜は存在しないだろうと言われている
囲碁の変化の多さ。

その中には定石を打っては勝てない場面もあり、
悪形を打たなければ勝てない場面もあるのです。

プロはそういう場面では確信をもって悪形を打ちます。
アマも読み切れればそれで良いのです。

でも、読み切れないのなら
そういう場面では一か八か悪手を打って勝ちに行くのではなく、
あえて原則どおり打って、敗者になったほうがいいのです。


悪手を打って勝ったとしても、いいのはその時だけ。

通常の場面でも悪手を打てば勝てるような誘惑に
とりつかれてしまい、自分の碁が乱れます。


もともとゲーム類の定石(定跡)は勝利の確率に基づいた経験則です。
千に一、万に一の例外は無視することを前提としています。

たとえそれで負けても
999勝1敗です。
9999勝1敗です。

どのような時も原則を貫けばいいのです。

それはいかなる場合でも勝てる方法ではないけれど、
長い目で見て、いわゆる「負けない打ち方」です。


時として理不尽な負け方をすることがあっても
耐えて原則を貫き通せば勝率は上向き、
意識せずとも棋力もいつの間にか上がっているはずです。


わずかな例外のために
自分の碁を乱す愚は避けましょう。

まして、
自分から定石外れを打ちにいくなんて
もってのほか
というわけです。


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