December 04, 2011
第206号 名著を見抜く目
前回、号外でオークションの棋書古本をご紹介しました。 何人かの人は入手されたようです。 そんなことをしておいて、 実は私は古本は嫌いです。 だから、一応、 他人の使ったものは嫌いだと言う人は ご遠慮くださいと書きました。 私は ただ安いからという理由では古本は買いません。 少々の金額のこと、 インクのにおいがする新品のほうが気持ちがいいです。 しかも、本屋の店頭に並んで他人の手あかの ついていない本をネットで購入します。 でも、 中身本位で見れば 古本には価値があるものがあります。 あなたに 紹介した棋書古本の中で、 私なりの超目玉が1冊ありました。 7番目、ラッキー7に並べた意味、 わかっていただけたでしょうか。 これでした。 ↓↓↓ 7 梶原武雄 「接近戦入門 」300円から レベルは高いのですが、他の人が書いていない 基本を書いています。 接近戦というと難しそうですが、 実は基礎の基礎。 中盤戦の打ち方の本は ほとんどが プロ棋士が自戦譜を例にああだこうだと書いた わかりにくいものが多い中で 中盤戦の打ち方の部分部分の基本を わかりやすく書いた数少ない本です。 この本読むと目が覚めます。 起きていても、目が覚めます。 私が10級くらいの時に読んで感銘を受けた本です。 当時この本に貼ったフセンが20枚ほどいまだに付いたままです。 そうか、10級のころ、 こういうところがわからなくて、 こういうところに感銘したのか。。。 梶原武雄九段は2年ほど前に亡くなりました。 出版社との契約によって、ケースバイケースですが、 著者が亡くなった場合、 時間がたつと廃刊になることが多いです。 今、40代の人が15年後、20年後 定年退職して時間ができたので 囲碁を基本からしっかりやりなおしてみたいな、 と思った時にはこの本はもうないでしょう。 そうして、名著はだんだん手に入らなくなっていきます。 オークションが終わっていなければまだ買えますが、 7 梶原武雄 「接近戦入門 」 (ブログ掲載時においてはすでに落札済みとなっています。) しかし、中古本は そもそも1冊しかありません。 みんなが買えるけではありません。 定価でも たかだか880円の本です。 と、新品を紹介しようと思ったのですが、 楽天でも、 アマゾンでも 新品はもう、在庫なしでした。 やはり。。。 もしかしたら、流通在庫、つまり、どこかの本屋の店頭に 1冊、ポツリと残っているかもしれませんが。。。 名著との出会いは 上達のきっかけになります。 私はこういう貴重なプロ棋士とその本、 いくつかプールしていますが、 そろそろ手に入りにくくなっているものが 増えています。 私が目を付けているのは 昭和30~40年代に活躍した一部の プロ棋士です。 意識していなければ、 せっかく出会っても素通りしてしまうでしょう。 |