トップページ >囲碁エッセイ> 第207号 出る杭は打たれる。でも、・・・

第207号 出る杭は打たれる。でも、・・・

ことわざや格言は物事の一面を説いたものが多く、
それだけがすべてではありません。

ことわざや格言には逆のことわざや格言もあるという話は
以前したことがあります。

たとえば、
「君子危うきに近寄らず」
に対して
「虎穴に入らずんば虎児を得ず」
という真逆のことわざもあるわけです。

要するに
臨機応変、状況にあった行動を自分で考えて実行しろ、
ということだと私は理解しています。

囲碁の場合もしかり。
囲碁格言がすべての場合に当てはまるわけではありません。
定石がどのような局面でも通用するというわけではありません。

もうひとつ、
格言には真逆だけでなく続きがあるということ
をご存じでしょうか。

「出る杭は打たれる。」
ということわざがあります。

優秀だったり
でしゃばったり、目立ったり
する人間は
何かと攻撃されやすいという意味のことわざです。

たしかになあ、と思います。
有名人はちょっとおかしな行動をとると、すぐ
世間やマスコミのバッシングに遭います。
普通の一般人がとった行動なら
何も言われないレベルのことでもです。

野球の話ですが、
私は王選手や長嶋選手の悪口を
聴いたことがありません。
あれだけ「出た杭」なのに。

現役時代も
監督時代も
今も。

もっとも、当時の相手チームのピッチャーには
マークされ、打たれたかもしれません・・・
いや、それでも打たれたのは相手のピッチャーの方でした。

「出る杭」なのになぜ打たれなかったか。
完全な人間だったから?
完全な人格者だったから?
天才だったから?

いえ。
それは
「出る杭」ではなく、「出すぎた杭」だからです。

「出る杭は打たれる。」
ということわざには秘密の続きがあります。

「出る杭は打たれる。
でも、出すぎた杭は打てない」
のです。

打とうと思っても、
高すぎて、誰もそこまでハンマーを持ち上げられないのです。
どうせ出るならそこまで出なければだめ、なのです。

実は
囲碁格言にも

裏や続きがあります。


あなたが格言や定石に則って打った手は
正しい手であって、
その意味で「出る杭」かもしれませんが、

ただ、それだけでは
「出すぎた杭」ではないのです。
ちゃんとした手を打っても、
それを打ち返す手はいくらでもあるのです。

それは相手が正しい手を打った場合も同じです。
正しい手を打たれたからと言って
こちらに手がないというわけではないのです。

ここでただ、定石を打てばいいのだろうか。
ほかの定石の方がよくないか?

また、
定石外れのようであっても、
実は正しく打っている相手の方が
困ってしまう手もあります。

もう、ひと工夫することで
「出すぎた杭」にならなければ
人より強くはなれません。


17:27 | Page Top ▲