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第23号 ハメ手

ハメ手・・・
聞いたことがあるでしょうか。
ただ、その意味を誤解している人が非常に多いようです。
いかにも、「ハメル=だます」のイメージが強いのですが、
有段者が置き碁で下手( したて。へたと読まないで下さいね)を間違いに陥れるために打つだまし手のことだと思っている人もいるかもしれません。

簡単なハメ手の一例を紹介します。
誰でも知っている基本定石ですが白がQ18と打つべきところを白1と打ってきました。
黒番のあなたはどう打ちますか。
白1がハメ手なのです。

1図
**JKLMNOPQRST**
19┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┐19
18┼┼┼┼┼┼┼┼1┼┤18
17┼┼┼┼┼○┼┼┼┼┤17
16┼・┼┼┼┼┼●┼┼┤16
15┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤15
14┼┼┼┼┼┼┼┼●┼┤14
13┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤13
12┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤12
11┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤11
**JKLMNOPQRST**


2図
**JKLMNOPQRST**    白は欲張っているので黒1と打って
19┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┐19    とがめたいところですが、白14まで。
18┼┼┼┼┼┼┼1○5┤18
17┼┼┼┼┼○4237┤17    黒が二線の狭い地を囲う間に白は立派
16┼・┼┼┼┼┼●69┤16    な厚み。
15┼┼┼┼┼┼┼81011┤15
14┼┼┼┼┼┼┼12●┼┤14    黒はみごとにハマっています。
13┼┼┼┼┼┼┼1413┼┤13    とがめ過ぎだったのです。
12┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤12
11┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤11
**JKLMNOPQRST**


3図
**JKLMNOPQRST**
19┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┐19    正解は黒1のコスミツケです。
18┼┼┼┼┼┼┼2○┼┤18    白2と引かせて黒3とハサミます。
17┼┼┼3┼○┼┼1┼┤17
16┼・┼┼┼┼┼●┼┼┤16    これは定石より白が悪くなりました。
15┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤15
14┼┼┼┼┼┼┼┼●┼┤14    定石ならR18で白2、黒1に対して
13┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤13    白L17と二間にヒラクところを
12┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤12    黒3にハサマれてR18にハッたことに
11┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤11    なるからです。
**JKLMNOPQRST**


話を元に戻します。
院生の勉強方法の一つにハメ手の研究があるといわれています。
ハメ手が単なるごまかしの手、ウソ手ならプロになる人がそんなもの研究するわけがありません。

ハメ手は手筋以上の働きを求めた無理筋。
互角では満足できずに無理筋の力を借りて6対4あるいはそれ以上結果を得ようとするのがハメ手の目的です。

ハメ手を破る手筋こそ本物の手筋。
定石とハメ手の戦いは手筋と手筋のぶつかり合いです。
そこには手筋の本質を知るヒントがあふれています。

そもそもハメ手は弱い人はひっかかりません。はじめから抵抗もしないでへコんでしまうからです。
少し分かる人の方が抵抗しすぎてハマってしまいます。
手筋と手筋の凌ぎ合い。
ハメ手を破ってこそ正しい手筋の本質が見えてくるのです。

最初はそれがハメ手であるかどうかわかりません。今までの定石が間違いで、ハメ手の方が本来あるべき定石である可能性もあります。
ハメ手を破る手筋が見つからなければ、ハメ手の方が今までの定石にとって替わります。

ハメ手の研究は現在の定石の地位を確かめる方法でもあり、新しい定石の探求の方法でもあるのです。


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