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第245号 負けたくないと思えば思うほど負ける理由

20目リードしているのに
30目、50目にリードを増やしたい。

そのため、攻めなくてもいいところを
あるいは攻めてはいけない相手の強いところを攻めて
相手の石を取れていたはず自分の石が逆に相手に取られて憤死。

逆転負け。



対局したことのあるほとんどの人が、
必ずと言っていいくらい経験しているはずです。

このリードを増やしたいという心理は
囲碁に限らず、
ゲームに限らず、
競争、勝敗のあるところすべてに存在します。


リードを増やしたいという心理が生じる理由は、
自信がないからです。

他のスポーツでも同じようなことが言えるかもしれませんが、
プロ野球でよく言われていることが
安全圏と言われる5点リード。

最悪、満塁ホームランを打たれても
1点差で勝てるということです。

それでも終盤、
主力バッターにバントをさせてさらに1点を追加する。


テレビの解説者の中には
4番バッターにバントをさせるなんて消極的なことで、どうするんだ、
と批判コメントをする人もいます。


でも、それはしょせん、外野のたわごと。
自分に影響しない他人ごとだから、
勝手なことが言えるわけです。



勝敗に責任がある監督としては
4番バッターにバントをさせる、
それも責任ある一つの采配です。


好投していた先発ピッチャーが突如、打たれる。
抑えのエースのリリーフピッチャーが今日に限って
不調で乱打される。

そんなことも人間だからあるわけです。

何があるかわからない、
だから取れる可能性があれば
1点でも、追加で取っていく。


何があるかわからない。
つまり、自信がないのです。

そういってしまえば
誰でもそうですが、



人は自信がない時に
リードを広げたいと思うのです。



野球のバントのように堅い手でリードを広げるのならいですが、
それが囲碁の場合は
相手の強い石を攻めるような
無謀な手になりがちです。


安全圏は棋力レベルによって感じ方が異なります。
初心者ほど不安です。
だから、
20目のリードでも安全圏ではないと感じてもおかしくありません。


でも、
初級者の相手は初級者。
中級者の相手は中級者。
ということを忘れてはいけません。

もともと
大きな棋力差のある相手と互先では対局していないはずです。



だから
そんな大きな逆転は
あなたもできないし、
相手もできません。


それでもそういう逆転が実際に存在するのは
自信がないため、不安にかられて
無謀な手でリードを広げようとするからです。


言い換えれば
負けたくないという気持ちが負けを呼んでいるのです。


皮肉ですね。

囲碁は
負けたくないと思えば思うほど、負けるようになっているのです。


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