February 05, 2007
第25号 コミ6目半の意味
初手を1図のように右上隅小目に打ちました。 「それは間違い!星に打ちなさい!」 と囲碁の先生に怒られたらどうしますか? 「だって、隅の打ち方は星も小目もあるって最初に教えてくれたじゃない!」
コミがなかった秀策の時代は初手星打ちなどという発想はありませんでした。 2図のように小目から小ゲイマにシマればスミの確定地は11目。 2手で11目、つまり1手の価値が平均して5目半。 初手、先番の価値が5目半ということです。
コミのない時代には、黒はこのように打てば対局開始直後からすでに5目半リードしているのです。初手を星に打つ発想など必要なかったのです。 コミ5目半の時代になるとこれは互角の打ち方になりました。 しかし、リードできるうち方でもありませんでした。 互角を上回るうち方はないものか。 ということで コミ碁になってはじめてあき隅の星打ちの考え方が生まれました。 あえて隅の地の確定しない星に打って、 相手が隅に侵入してこなければ小目より大きな地を隅に作り、 相手が隅に侵入してくれば模様碁で対抗しようというわけです。 隅を星に打つ手は互角以上の可能性を求めた手でもあるのです。 さて時代はかわって平成16年。前年あたりからコミ6目半が浸透してきました。 2図の打ち方では一手の価値5目半。 コミ6目半の対局ではスタートから1目負けています。 だからこんな馬鹿な手を打ってはダメだというのです。 しかし、 「初手は星に打て」 は定石にはなっていません。 プロの棋譜を調べてみると、1図のような初手小目という手は非常に多い手です。 つまり ほとんどのプロが「初手は星に打て」という説を無視しています。 なぜなら、布石は一手、二手で決まるものではなく、初手から数手までをセットにした構想だからです。 手を限定せず、自由な発想であらゆる可能性を追求するプロの探究心の表れでしょうか。 その探究心はアマにも大切なものです。 しかし、しっかりした布石構想を研究していないのなら、初手小目打ちは悪手になる可能性があることになります。 |