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第252号 行間を埋める解説

囲碁に対する感覚は、始めた年齢によってかなり異なります。
アマでは十代から囲碁を始めた人が
一番抵抗なく上達が順調なのではないかと思います。

学生時代、囲碁部に所属して囲碁を始めて4年間まじめにやった人は
ほとんどが有段者になっているはずです。

もちろん、個人差もありますし、途中でブランクがあまりにも長いと
「一日の長」の効果も半減します。

また、中学生のときとか、高校生の時に始めると、
途中に受験が挟まるのでブランクが長くなったり、
復活することなく、あきらめたり、
他へ興味が移ったりと、

アマの場合は
必ずしも始めるのが早ければ良いというものでもないようです。


そうはいっても、
私が囲碁を始めたのはちょうど40歳のときでした。
こんな超出遅れは自分くらいなものだろう
と思っていましたが、

サイトやメールを通じていろいろな方と知り合うと、
40歳過ぎから囲碁を始めた人も
意外と多いということがわかりました。


そして、そうした中年以降に囲碁を始めた人には
共通の障壁があることもわかってきました。

若い時にはがむしゃらに覚えることができますが、
年齢を経ると
一字一句の言葉を大切にするというか、

しっかり理解しようとするあまり、
こだわってしまうことが多くなります。


以前、40代の読者の方から
メールをいただいたことがあるのですが、
こんな内容でした。


ルールはすぐ覚えたが、それからがうまく行かない。

本に書いてある、

次のような言葉がなかなか理解できないというのです。

(1)~一本道です。

(2)~にこれは必然。

(3)一目見てここは大きいです。

(4)これはのがせない急場です。

(5)ざっと目数を見ると黒が優勢です。

(6)これが形です。


これはやはり私が囲碁を始めたころの感覚
とまったく同感でした。

これらの表現はプロ棋士やプロインストラクターが
好んで使う言葉です。

解説者はこれらの言葉を使うと楽なんです。

若い世代は感覚で覚えていくので

この内容のない説明でもかなりついてきてくれます。

日本棋院を初めとする囲碁界は
若い世代の囲碁人口を増やすことに一生懸命で、
中高年の囲碁ファンは、やや置き去り気味です。

中高年の囲碁ファンを切り捨てるつもりなら
これでいいのかもしれません。

若い世代の囲碁人口を増やすのは
利益を目的とするビジネス囲碁界の方向性としては
間違いではないと思います。


だからこそ、他方で、

~一本道です。
~にこれは必然。
これが形です。

のような表現では終わらせず、
これらにさらに説明を入れていく、

つまり、

行間を埋めていく解説をしていく指導者も必要なのではないかと
思うのです。


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