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第264号 倍返しと半返し

9月22日にTBS系で放送されたTVドラマ
「半沢直樹」最終回の平均視聴率が、関東地区で42.2%で、
平成の民放ドラマではトップだったそうです。

銀行を舞台にした堅い?ドラマがヒットするなんて
私にはちょっと考えられないのですが、
このドラマのヒットにはそれなりに理由があったようです。

一つは、演出の「暑苦しいほどの熱さ」
悪いやつを追求するときの半沢直樹の「怒鳴り声」が
現実には銀行の会議室でこんな激しい喧嘩は
行われるはずがないという常識を破って心地よかった
らしいです。

もう一つは「勧善懲悪」
ドラマ水戸黄門が典型的ですが、悪人を懲らしめる
というのは人間が人間らしさを持っている限り、
普遍的に心地よいのでしょう。


でも、銀行悪者論を信奉している人が多かった
のがさらにその根本にあったような気がします。

銀行がないと現実には困るのですが、
バブル時の銀行の悪業や
むかしから言われる
「雨の日に傘を貸さずに、
晴れの日に傘を無理に貸し付ける」
という銀行の行動を嫌う人が多いのだな
と改めて感じるところでした。


最後に「倍返し」
という流行語を作ったことがドラマのヒットに
つながったようです。

やられたらやり返す
というのは人間心理の根底を突いています。

今の法律は為政者(政治家&役人)の都合で
悪者を守り過ぎている
と言われていますが、

紀元前1792年から1750年にバビロニアを統治した
ハンムラビ(ハムラビ)王が発布したハンムラビ法典の精神が
「歯には歯を」でしたし、

日本の江戸時代の「仇討ち制度」も
いわば、「やられたらやり返す」を認めた制度でした。

これらは民の気持ちを
よく把握した制度なのです。
被害者の気持ちを鎮めないと
闇の世界で仕返しが横行する怖い世界になって
しまうからです。

悪者を守り過ぎている現代社会は
表面は平和に見えても、
やがて被害者の不満で破裂するかもしれない危うさを
内包しています。


バブル期の悪行三昧の銀行
の責任者が責任を問われず、
被害者である一般国民の税金でその銀行の再建や
銀行の責任者の生活を支えてきたわけです。

倍返しはやり過ぎかもしれませんが、
ドラマ「半沢直樹」は
そんな国民の深層心理にある
不満心理を突いていたのかもしれません。



囲碁でも、大石を取られたら
倍返ししたくなりますよね?

それで打つ手が荒くなり、
取り返すどころか
悪手に悪手を重ねて
さらに大石を取られたりして・・・


熱い気持ちも大切ですが、
成果を上げるためには
それと同じくらいの冷静さも必要なわけです。


囲碁で冷静さを取り戻すのに
一番効果があるのが
「形勢判断」です。


囲碁では、倍返しではなくて、
形勢判断をするごとに
部分返しを重ねるのがいいのです。
半返しが出来れば十分以上です。

そして、自分なりに回復不能と判断したら
潔く投了するのも上達のための重要な技術です。

級の人の対局を見ていると
100%と言っていいくらい
形勢判断をしていません。
だから勝てない碁をいつまでもこねくり回しています。

序盤、中盤、終盤の最低3回くらいは

形勢判断をしたいものです。


負けを無理に挽回しようとして
悪手に悪手を重ねると
悪い癖がついて
棋力が落ちます。


単にその対局を勝つためにだけでなく、
棋力を落とす悪い癖をつけないためにも
形勢判断は大切な技術なのです。



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