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第284号 定石は本当に互角なのか?

定石とは互角の別れのことです。
定石を打てば勝てる
というのは間違った思い込みです。

定石を打てば少なくとも
それが負けた原因ではないと言えるかな
ということです。

「勝つ」に比べるとインパクトに欠けますが、
この「負けない」ということが
思った以上に大切だったりします。

私も経験がありますが、
定石を学習する際に
ほとんどの人が感じる疑問があります。

「定石が互角に見えない」
という疑問です。
黒の方が有利に見えるとか、
白の方が有利に見えるとか・・・

これはある意味、当然の疑問なのですが、
棋力が低いから定石が互角に見えない
のだと思ってしまうことが多いかもしれません。

でも、最初から定石は互角の別れだと教わって、
納得できる人は天才か、
何も考えないで人の言うことを受け入れてしまう
危険な人のどちらかです。


互角に見えない方がごく普通の
正常な感覚です。

定石が互角に見えないことには
主に2つの理由があります。


(1)地と厚みは数学では比較できない

定石というのは地と地の比較や
厚みと厚みの比較ではありません。
定石の全ては地と厚みの比較です。

たとえば、この定石を見てください。
誰でも知ってる基本定石を例にします。

⇒ http://igodaisuki.net/tugi/gokaku284.jpg

黒と白、
あなたはどちらを持ちたいですか?
(どちらが有利に見えますか、という意味です。)

白は何目かの地を確保しています。
黒には地はありませんが、上辺方向に厚みを作っています。
そもそも地と厚みは数学的に比較はできません。
りんご1つとみかん2つ、どちらが欲しいですか?
という質問に似ています。


それぞれの大きさにもよりますが、
りんご1つとみかん2つは
価格で比較するか、好みで比較するしかないですよね。
価格も好みも時により、人により変わってしまします。
それでは普遍の原理にはなりえないわけです。


囲碁の定石の場合は、
プロ同士の対局の平均によって、
特にどちらかが有利という結果は出ていない
ことを理由に互角と見ているわけです。

アマの場合は、厚みを地に変える知識と技術が劣るために
どうしても地のある方が有利に見えます。
また、棋力にかかわらず、好みで言えば、
模様碁の好きな人は
厚みのほうが有利に見えるかもしれません。

このような技量や好みの違いによって
定石が互角に見えないということが起こります。



(2)先手・後手も考慮しよう

もう一つ、勘違いしやすいことがあります。
もう一度この定石を見てください。

http://igodaisuki.net/tugi/gokaku284.jpg

黒・白の石の数を見てください。
どきっとしました?

まさか・・・
いえ、石の数は同じです。
その点の有利不利はありません。


ポイントはどちらが先手で始まったかという点です。
この定石は黒が先手であき隅に打ったところから
始まっています。

ところで、
対局ではなぜ、黒に6目半のコミがあるのでしょうか?

そうです。
先手の方が有利なのです。
それを考慮せずに、
盤面の一部にできた定石だけを見て
互角であるかどうかを論じること自体が無意味です。

この定石で言えば、
黒先手で始まった定石進行であり、
同じ石数で終わっているので
本来、黒が有利で、当然です。
先手・後手を加味して互角と言っているわけです。


今まで互角に見えない定石があったら、
以上の2つの視点で今一度見直してみては
いかがでしょうか。



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