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第302号 「相場」という囲碁用語

棋書を読んでいると
「そのあと黒5から白10までが相場・・・」
のような説明によく出会います。
「相場」って、いったいどういう意味でしょうか。

こういう解説を見ると私たちアマは
「現在の囲碁の世界では
こう打つのが最善でしょう。」
という意味だと思うのではないでしょうか。

でも言葉の意味としては違います。
もともと相場というのは
経済取引において
売り手と買い手が妥協して売買契約を結ぶ価格
のことです。

売り手はもっと高く売りたい。
買い手はもっと安く売りたい。
でも、お互いに
「こんなものかな。欲張ると売れなくなる(買えなくなる)」
と思う価格です。


これを囲碁の場合に当てはめると、
「もっといい手があるかもしれないが
欲張ると何があるかわからない。
まあ、対局相手も納得するでしょう。
現在のプロはこう打つことで合意しています。」

という意味合いになります。

唯一の正解ですという意味や
最善という意味で
「相場です」
を使うと完全に日本語として間違いになります。

「これが相場です」
という説明を読んだとき、
私たちは
定石のようにそれを
覚えたほうがいいのか、

あるいは

「場合の一手」として、
いつも正解になるとは限らない手
として理解しておいたほうがいいのでしょうか。

文脈からみると、棋書の著者はその中間的な意味合いの
「ほぼ正解」
の意味で使っていることが多いような気がします。
「ほぼ」というところが微妙です。
定石に近いものというニュアンスでしょうか。


「相場」をきちんと理論解明しない、
この辺が
韓国や中国の囲碁界(棋士)に比べて
日本の囲碁界(棋士)の甘いところ
のような気がします。

日本の棋士同士なら
相場通りに打ってくるところを
国際棋戦になると
妥協せずに強引に攻められて苦杯をなめる
ということが日本のプロ棋士に永く続いています。

以前、国際棋戦に強かったのが
依田紀基九段です。
現在は井山裕太九段
が善戦しているようですが、
二人のプロに共通しているのは
寝食を忘れるほどの研究心です。

プロの世界は
豊かな生活に満足して、
ハングリー精神をなくした時点で
進歩が止まります。

「相場です」という解説が
囲碁関係の文書から無くならない限り
再び日本のプロ棋士が世界をリードすることはない
ような気がします。

私もなるべく
棋書で「相場です」
という解説を見たくないですし、

新たに棋書を買うたびに
「相場です」
が出てこないか、読みながら
いつもヒヤヒヤしています。



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