December 02, 2015
第315号 ケチとヨセ
あなたは寄席を聞きに行ったことがあるでしょうか。 もし、行ったことがなくても テレビなどで一度は聞いたことがあるかも知れません。 何気なく聞いているかもしれない寄席ですが、 実は話の内容は相当吟味されています。 というのは、 寄席にはいろいろな人が聴きに来るので、 噺(こばなし)の内容によっては お客が怒ってしまうこともあるからです。 でも、これなら絶対怒るお客はいないという 話のネタが2つあります。 何だと思いますか? 泥棒 と ケチん坊 です。 たしかに小噺に多いテーマです。 泥棒の悪口をいくら言っても 文句を言う泥棒はいません。 自分が泥棒であることがバレてしまいますから。 ケチん坊はお金を出してまで寄席を聞きに行かないから 寄席でケチん坊の悪口を言っても大丈夫です。 以前、テレビのクイズ番組で 「六日知らず」 という言葉の意味が出題されていたことがありました。 ケチん坊の小噺で有名なのが 三遊亭圓生の「吝嗇屋」という話の中に出てくる「六日知らず」です。 (注) 吝=(けち) 「六日知らず」というのはいわゆるケチのことなのです。 なぜ「六日知らず」がケチのことなのかと言うと・・・ 日付を勘定するときに、「一日、二日」と指を折っていきます。 五日まで数えると、 手を握りしめた状態、つまり、 じゃんけんのグ―の状態になります。 ところが、六日目を勘定しようとすると、 一度にぎった手をヒラかなければなりません。 一度握ったものは離したくないというので 六日目を数えなかった人がいたことから ケチのことを 「六日知らず」と言うのだそうです。 ♪結んで・・・開いて・・・ という童謡は子供をケチな人間にしないための 教育なのでしょうか・・・ 話が遠まわしになりましたが、 にぎりとかヒラキとか そういう囲碁用語を見ると 囲碁もケチと関係があるかと思ったりします。 そもそも囲碁って ヨセのような、 ずいぶんと細かい・・・ ケチな技術を使うゲームのように 思えないでしょうか? でも、同じ囲碁でも 布石は広大な構想力を必要とします。 大きなことも小さなこともできないと 囲碁って強くなれないのです。 だから面白いのであり、 また強くなるのが大変でもあるのです。 序盤は布石で細かなことにとらわれずに広大なイメージを・・・ 終盤はヨセで1目、2目をしっかり稼ぐ。 つまり、 大胆にして細心! 失敗を恐れて確実な小さいヨセばかり打つのは 細心ではなく、小心です。 これをケチと言われても仕方がないでしょうが、 細心をケチと侮辱する人はいないでしょう。 |

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