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第322号 かなづちを持つ人には、すべてが釘に見える

囲碁愛好家はおしなべて研究熱心です。
怠けものより勉強家のほうが多いから
怠けものが駆逐されて
勉強家だけ残るともいえるのかもしれません。

そのせいか、
囲碁愛好家は年々減少傾向で
その影響で
プロ棋士も一部のトッププロを除いては
生活も大変なようです。
ヒカルの碁で囲碁人口が爆発的?に増えた頃が
幻のように見えるから悲しい。

これ以上減少して欲しくない研究熱心な囲碁愛好家に
耳の痛い話でもあり特効薬にもなる話をお届けしたいと思います。
研究熱心であればあるほど陥る上達の罠
についてが今回のテーマです。

初段を目指す2~3級の人が
まず、チャレンジしなければならないのが
三々をめぐる問題です。

もちろん、ほかにもあるけれど
三々入りの問題がもっとも普遍的で
多くの人にピンと来るテーマのようです。

相手に三々に入られたときに
取らなければいけない形であるか、
入られて生きられても仕方がない形なのか。
その区別ができるか
そして、
それに対して正しく応手できるか。

初段レベルの技術ですが、
実際には実戦でこれが完璧にできれば
初段どころか高段者です。

表裏一体という言葉がありますが
逆に相手の隅に三々に打ち込む場合も
同時に研究しなければいけないわけです。

守りより攻撃のほうが好きな人が多いので、
三々打ち込みを研究したい人は多いと思います。
ここに罠があります。


研究を進めてある程度マスターすると
三々への打ち込むべき形でなくても
打ち込んでみたくなります。

まさに
「かなづちを持つ人には、すべてが釘に見える」
わけです。

石の位置が一つ異なるだけで
状況は変わるのに、
とにもかくにも
打ち込みたくなります。

実戦では
三々に打ち込むべき形が生じる
のはそう多くはないので、
似た形地や近い形のときに
試したいと思う気持ちは
なかなか抑えることができないのが人情です。

分かっていて、
試すのならいいと言っても、
この無理手が本来の自分のペースを崩し
連戦連敗のきっかけになることがあります。

研究していない人は
まったくかかることのない碁病気ですが、
研究熱心な人ほど
逆に棋力を崩してしまう
こわい碁病気です。

立ち直れば
さらに強くなれる体験になりますが
ペースを崩したまま
そのまま棋力が低迷してしまう人もいるので
気を付けましょう。

この記事を読んだ人は
そのような事態にはすぐ気が付くので
おそらく免疫ができるように
いったん低迷しても
すぐに立ち直れるのではないかと
思うのですが・・・



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