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第323号 どう打つべきかではなく、なぜこの手はダメなのか

どう打つべきかと
この手はなぜダメなのか
ということは
表裏の関係であり、
一見、内容は同じことのように思えます。
しかし、言わんとする結論は同じですが
具体的な内容はまったく異なります。

定石もそうですが
世に蔓延している棋書は
おしなべて
どう打つべきか、という
正しい手の手順の解説が
中心になっています。

それ自体が悪いわけでも
間違えているわけでもありません。
間違いではないのですが
面白くありません。
興味が繋がりません。

定石の勉強が嫌いという人の
ほとんどが
そう感じているのではないでしょうか。

人間の本能はたいしたもので、
面白くないことは覚えません。
どう打つべきかは
たとえ、一生懸命勉強しても
覚えられないのです。

ゲーム理論にしても
他のいろいろな習い事や学習にしても、
あるべき論だけやっていると
興味が途切れて
上達も停滞します。

大学入試や資格試験の
受験テクニックとしても
これは有名ですが、
理論体系を順番に説明していくのではなく
「なぜ、○○はいけないのか」
とか、
「なぜ、○○でなければならないのか」
など、疑問形式の学習が効果的であることが
分かってきています。

本のタイトルでも
「○○の基本」より
「△△がダメなわけ」
のほうが売れますよね。

囲碁の場合も同じです。
こう打つんですよ、
と定石手順を教えられても
あるいは自分で本で読んでも
覚えられない方が普通です。

そう、覚えられないのは
あなたのせいではないのです。

ただ、
市販棋書では
このタイプの物は少ないし、
あったとしても、逆に
マニアック過ぎて
難しすぎることや
自分が経験したことのないことについて
「なぜ、この手はダメなのか」
と言われても
やはり興味がわかなかったりします。

総じてプロ棋士の発想は自身の経験談
を元にしているので
アマチュアには
ピンと来ないことが多いのです。

ほとんどの場合、
プロは自戦譜をもとに
棋書を執筆していますが
アマの対戦譜をもとに
いけない手の指摘から
どうすればよかったか
の説明がきわめて効果の高い
指導法になっています。

これは棋書ではほとんど存在せず、
ごく一部の囲碁教室で行われていることです。
でも、費用の掛かる囲碁教室
を利用しなくても、
自分で、なぜこの手はダメなのか
という意識をもって
対局し、棋書などの囲碁教材に接することで
学習効果は相当上がるはずです。



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