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第326号 あまし作戦って何ですか?

10年以上も前のことですが
以前、囲碁ビデオ教材に
ハマったことがありました。
今でもお得意様扱いなので
ずいぶんと貢いだようです。

当時はDVDそのものはありましたが
普及度がいまいちだったので
ビデオが中心だった時代です。

しかし、購入しなかった教材の中で
気になったものがありました。
気になった、というのは買いたかったとか
いう意味ではなく、文字通り、
その教材のタイトルが
気になっただけなのです。

知らない言葉なので
欲しいとも思わなかったから
文字通り「気になった」だけなのです。


正確には覚えていないのですが、
そのビデオのタイトルは
「○○○のあまし作戦」
みたいな感じのものでした。

実戦における棋力は低くても
相当勉強していたので
実行できなくても、
囲碁用語は良く知っていました。

それでも、知らなかったので
これは何のことだろうと思って、
気になって仕方なかったのです。


級位者はもちろん、有段者でも
人に聞いてみる機会のない人は、
もしかしたら知らないかもしれません。

今でも市販棋書には
「あまし作戦」という言葉を用いた
タイトルの本はあまりないようです。
今でもこの言葉の説明がある棋書に
出会ったことがありません。

ですが、正式には知らなくても
上級者なら、その言葉から
おおよその想像はつきそうです。

私もおおよその見当はついていたのですが
はっきりとわからないと
気持ちの悪いものです。
おそらく、正式な囲碁用語ではないのかも
しれませんが、高段者やプロは
私的にはしばしば使っている言葉です。

先日、日経新聞の王座戦の解説に
もろに「あまし作戦」という言葉が出ていました。

それには、
「・・・地で稼いで逃げ切ろうというあまし作戦。
白番で時々打つ人はいますが、中野さん(中野寛也九段)
が打つのは珍しい」
という記述がありました。

普通は先番の黒が採る作戦じゃないのか?
と思う向きがあるかも知れませんが
黒の模様碁に対して白が「あまし作戦」を採る
ことがあるという意味です。

その棋譜を見ていただきたいと思います。

38手までです。
⇒ http://tutaeru.net/web/150715b.html


なるほど・・・
と思う形ですね。

いろいろ勉強できる定石やその変化形
が満載でわくわくする棋譜です。
次の一手(黒39手目)も考えてみてください。



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