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第35号 棋譜の著作権

プロ棋士の棋譜には著作権があるのか?
あなたは、今までこんなこと考えたことあるでしょうか。

人の著作の一節を無断で使用して訴えられたり、
人の作曲した音楽の一部を自分の曲に使って訴えられたり・・・
有名人のそんな事件がよくニュースで報道されています。
それが著作権です。

その著作権がプロ棋士の棋譜にもあるのかどうかという問題です。

棋譜並べをするときに使用するプロ棋士の棋譜。
雑誌などにあるのを見つけて個人が勉強するのは何も問題ありません。
問題なのはサイトやメールマガジンなどで公開する場合です。

日本棋院はそのオフィシャルサイト内
http://iin.nihonkiin.or.jp/kk/j/ugf-dl.htm
でプロ棋士の棋譜の著作権を主張しています。

現実にはほとんどの個人囲碁サイトがこれを知ってか、知らぬか、
プロ棋士の棋譜を勝手に公開しています。
厳密にはこれも著作権法違反です。

日本棋院も当然知っているはずですが、訴訟などは起こしていません。
これには2つの理由があります。

一つは、日本棋院がそのことによって実害を受けていない。それどころか、それによって囲碁ファンが増加して逆に収益増につながっている可能性がある。もう一つは、そもそもプロ棋士の棋譜に著作権があるとは日本棋院が主張しているだけで、法律上(裁判上)確定していない。
ということです。

後者については
(1)アメリカなどではチェスの棋譜に著作権が認められいない。
(2)将棋については日本将棋連盟は問い合わせれば著作権があると答えるが表だって主張していない。
ということから日本棋院の主張は分が悪いというのが個人的な感想です。

棋譜に思想や文化があると見れば棋譜に著作権が存在することになり、単なる対局結果事実(ニュース)にすぎないと見れば著作権が存在しないことになります。

囲碁ファンとしては棋譜に思想や文化があると思いたいけれど、自由に使用させて欲しいという気持ちもあって、微妙です。
ポイントはプロ棋士の棋譜を無料公開された場合、日本棋院の収益が悪化してしまうのか?ということです。
たしかにそれでは日本棋院も困ります。

しかし、棋譜の販売で稼ぐなんてスケールの小さいことを改革を進めていた故加藤正夫理事長が考えていたとは思えません。
むしろ、多くの人にプロの棋譜を自由に見てもらい、囲碁人口を増やし、さらに熱心な囲碁ファンを増やすことによって、囲碁界全体の発展を考えていたのだと思います。

日本棋院がプロ棋士の棋譜を無断公開しているサイトなどを取り締まるようなことをすれば囲碁人気は一気に沈下してしまうでしょう。

囲碁の普及という大きな見地から日本棋院がプロ棋士の棋譜の著作権を法律問題にすることなく、これからも今までどおりのおおらかさで対応してくれることを切に望みたいと思います。

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