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第38号 コミの変遷


2002年から2003年にかけて日本の囲碁プロ棋戦はコミが5目半から6目半に変更されました。
じゃぁ、5目半の対局での半目勝負はすべて勝敗が逆だったというのでしょうか、という疑問が生じます。
コミは4目半、5目半、6目半と変遷してきました。
そのたびに間違いを修正してきたというのでしょうか。

「ヒカルの碁」でおなじみの秀策の時代には、そもそもコミがありませんでした。
これは昔のことなので黒番の方が有利だということさえ気がつかなかったのでしょうか?

まさか。
コミなし碁の考え方は黒白順番に持ち、複数局対局して決着をつけるということであり、1局で勝敗を決めるということではなかったのです。

ところが、戦後、1局で勝敗を決めるトーナメント戦や短期決戦のタイトル戦が主流になると、コミなし碁では正しい勝敗にならないためコミが導入されました。
当初は4目半、その後5目半になりました。

囲碁は常に研究されています。その過程で黒有利な布石が研究されたり、白の対応策が研究されたり、囲碁そのものが生きているし、進歩しているのです。布石を自分で選択できる可能性のある黒番の布石研究のほうが進んだのかもしれません。

あるいは均等に研究が進んだ結果、黒有利になっていったのかもしれません。いずれにしろ研究が進んだ結果、黒有利のプロ棋士対局の結果が生じ、それを矯正するため4目半からはじまったコミは6目半まで変遷しました。
中国では実質的にコミ7目半が行われており、日本でも今後もさらに変遷を続ける可能性があります。

そもそも『半』というコミは引き分けを避けるためのもので、互角の力の者同士の対局がピッタリ50%の勝率になる適正なコミなど原則的には存在しません。
5目半でも6目半でもどちらかに偏っています。
引き分けが多発してもよいなら、6目とか7目とか『半』を加えないコミが正しい勝敗を導くかもしれません。

結論としては、その時々のコミはおおむね妥当だったといえるのではないでしょうか。
その証拠に、強い棋士はどのコミが適用されていた時代にも強いと正当に評価されてきています。
どんな状況でも、与えられた条件の下で勝つのが本当の強さなのかかもしれません。

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