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第43号 喧嘩碁


喧嘩碁といえばどちらかが死ぬまでとことん戦う石の取り合いの激しい棋風の対局のことですが、まさか本当の喧嘩とは思わないでしょう。
ところが・・・

私が2~3級のころ、日本棋院の『級位者の日』で対局をしていた時のこと、突然、隣の対局者の一人が大声を上げて相手を罵倒しました。
自分の碁に夢中で状況は見ていなかったので、何が原因だったのか、はっきりとはわかりません。

ただ、言っている内容からすると、真偽は別として相手がマッタをしたか、ハガシをしたか、何らかのルール違反をした雰囲気でした。
二人ともそのまま席を立ちました。

私の対局相手は学生風の若い人でしたが
「いやー怖かったですね」
と顔を見合わせました。
お互いにあの人が対局相手じゃなくて良かったね、というところでした。

こんなことはめったにあることではありませんが、他流試合をすれば可能性が全くないわけではありません。 
ここまでひどくなくても、負けて不機嫌になって挨拶もなしに蹴るように席を立った人に私も何度か遭遇しました。

もし、故意にルール違反をしたならその人も、
相手のルール違反に対して怒鳴って席を立った人も、
負けて不機嫌になって挨拶もなしに蹴るように席を立った人も、

囲碁を打つ資格がないばかりでなく、人としてのあり方も問われると言えるでしょう。
囲碁の段級位は囲碁の強さに対して与えられるのもであり、残念ながら人格についてまでは審査されません。

大会などの場合を除けばトラブルを裁定してくれる人はいません。
囲碁はレフリーのいない格闘技のようなものです。
だからこそお互いがルールを熟知し、マナーを守れる紳士淑女でなければ成り立たないものです。

勝敗に疑義が生じた場合は一旦、相手に勝ちを譲り、後に検討・研究して自分の力にすればいいのです。
勝負にこだわる人ほど後の研究を怠り、上達しない傾向があります。

プロと違い、我々の一局の勝敗自体には大した意味はありません。
勝負よりもどう打つのが正しかったのかという検討の方に興味があるくらいでなければ上達など、あり得ません。

お互いに気持ちよく対局を終えることができなければ一方があるいは両者が人としても失格者であることが明白になってしまう・・・
囲碁ってなんと恐ろしいゲームなのでしょう。

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