March 27, 2007
第53号 今日の見所は?
これは囲碁トーナメント○○○杯で対局開始直前に聞き手の女流プロが解説棋士に投げかける冒頭のことばです。 聞き覚えがある方もいらしゃると思います。 4~5年前に梅沢由香里五段が使い始めたのですが これはポイントをついた質疑応答です。 視聴者は神経を集中させて、思わず聞き耳をたてます。 どんな対局になるのか、注目ポイントを一言で聞けるのですから。 ところがその後聞き手が変わってもずっとこの掛け合いが続いています。 実は私はこの問いかけを聞くたびに疑問を感じます。 最近は解説棋士もその質問を予定して回答も用意しているようで、一応回答していますが、当初は言葉に詰まる解説棋士が多かったように思います。 他人ごとながら答えにくいだろうなといつも思います。 解説の棋士の先生方はどう感じているんでしょうか。 それを聞いてみたい気がします。 武宮正樹九段と小林光一九段の対局なら、模様と実利の対決が楽しみです、と私でもコメントできそうですが、実際には模様派でも実利派でもなく、柔軟な中間派の棋士の方が多いんですね。 解説者自身が対局したことのない若い棋士が出てきたときなど、どんな棋風か知らないで苦し紛れのコメントも多かったのも事実です。 梅沢由香里五段のあとの聞き手はこれはいい、と思ったからそのまま踏襲しているのだと思うのですが、自分の発想で対局鑑賞を盛り上げる工夫も欲しいという気がします。 今日の見所は? 長年視聴していると、安易な真似に聞こえて仕方ないのです。 ちょっと「耳タコ」状態です。 回答する解説者の「またか・・・」というつらそうな表情も気になります。 かなり前になりますが、小川誠子六段が聞き手をしていたころは解説者に紋切り型の質問を浴びせるのではなく、自然な会話の中で、いろいろな話を引き出していました。 さすが年の功、なんて言ったら怒られちゃいますね。 (この記事は2005年10月29日に配信したものです。) |