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第94号  説明の少ない囲碁の本


いろいろな囲碁の本を読んで感じることがあります。
それは文章による説明が少ない、ということです。
そこには、
棋譜図を見ればわかる、という書き手の気持ちが反映しているように思います。
私もこのメールマガジンで書かせてもらっているので、その書き手の気持ちはすごく分かるのです。

そして、自分でも時間のないときに書くと、
とおりいっぺんの説明しか書いていないことがあることに気がつきます。

市販の本の中に
「黒1に白2は必然。」
とか、
「黒1から白6までとなります。」
とかいう説明をよく見かけませんか?

なぜ必然なのか、
黒1から白6以外の打ち方はありえないのか?

その辺は説明しなくても分かる棋力の人を対象に書いています、
ということなのでしょうが、
それが分かりにくさを助長し、入門者の囲碁離れをもたらしているのではないかという気がします。

強い人で、あるいはプロ棋士で指導経験の少ない先生ほど
こんな当たり前のことをどうやって説明しろというのか?
と思うのかもしれません。

1+1=2
を説明するのが非常に難しいのと似ています。

私が本気で
「黒1に白2は必然。」
とか、
「黒1から白6までとなります。」
の行間を説明する場合は、
自分が入門したてのころや10級くらいの時や、5~6級の時のころに
戻って考えてみます。

当時昇級に苦労しているのでどんな気持ちで打っていたか、
鮮明に頭に焼き付いています。
必要な説明は技術ではなく、心理的な迷いなのです。
心理的な錯覚を説明すると、初心者は付いてきてくれます。

他の場所での失敗を取り戻そうとして、その後無理な手を連発する人。
それはそんなに大きな失敗ではなく、実はその後の挽回しようとして打った
無理な手のほうがよっぽど致命的だったりします。

また、弱い石を助けるより強い石をさらに強くする人。
その方がたしかに大きな地ができて心理的に気持ちいいのです。

失敗をかばう手を打つ必要はないこと、
心理に任せて打つと間違えることがあること、

同じことでも技術としてではなく、
気持ちの持ち方として説明すると、初心者は驚くほど理解を示し、
棋力も伸びてくるのです。


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