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第9号 囲碁は石取りゲームではない

囲碁の入門時には皆、相手の石を1子取ればその石を終局時に相手の地に埋めるので取り跡が眼になればその1目と合わせて2目の地になると、アゲハマの理論を教えてもらいます。
そしてウッテガエシ、ゲタ、シチョウという石取り技術を学びます。
つまり、相手の石を取るとどんなに有利になるかを教えているわけです。

これは初学者に途中でやめないように興味をつなげさせる意味もあるのでしょうか。子供の場合は特にそれが重要かもしれません。
そしてそれは決して間違いではないのです。

しかし、このため「石取り=命」とばかり、いつまで経っても石取りゲームから脱しきれない人が多いのです。

囲碁は石取りゲームではなく、陣取りゲームだということもルールで説明しているのですがこちらはすっかり忘れられているようです。

囲碁は陣取りゲームであるという立場を重視すれば、地を取るという目的のためには
1)相手の石を取ることも
2)自分の石を捨てることも
対等の価値ある手段であることは明白です。

しかし、上級者になってから捨石の技術を教えてもなかなか身につかないのです。
それはそうです。
石を取ることばかり教えられ、急に今さら
「石を捨てろ」
といわれても、すぐには実行できません。
特に大人は頭が固いのですぐには方向転換できません。
実際、石を捨てたがらない中級者が大勢います。

かす石を大事に生きのびようとして相手に大きい地を与えているのに気がつかない人、

取られるのはいやだとばかり完全に死んでいる石をもがいて傷を広げている人、

石を捨てるのが大嫌いな人、石を取るのが大好きな人、多すぎます。
本能的に取られまいとしている姿に至っては重症です。
石を捨てるのと石を取られるのは全く違うことです。

子供は教えられるたびに素直に知識を吸収するので、柔軟に対応できるようですが、大人にとって方向転換はつらいものがあります。

大人の場合は石を捨てることも、石を取ることと同様、地を作るための手段であることを比較的初期の段階で教える必要がありそうです。
大人と子供を同じ方法で指導する現代主流のの囲碁指導法の問題点なのではないかという気がするのです。


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